2019年2月16日土曜日

フィリップ証券(シンガポール本店)は日本在住でも口座開設できる

私が使っている証券会社の一つであるフィリップ証券(シンガポール本店)について紹介します。

外国株を取引するにあたって、最近では日本の証券会社でも取扱銘柄の多いところが出てきましたが、アジア株(特に、シンガポールやオーストラリア)については、まだ取扱銘柄数が十分でないようです。海外の証券会社で取引してみたいという方もいらっしゃると思いますので、参考になればと思います。


日本のフィリップ証券とシンガポール本店のフィリップ証券は異なる


紛らわしいのですが、「フィリップ証券」でGoogle検索すると、兜町に本店がある日本のフィリップ証券が出てきます。ここで紹介したいのは、シンガポールに本店を持つフィリップ証券です。どちらもグローバル展開するフィリップ・キャピタル・グループの会社ですが、別の会社です。取扱銘柄数には格段の差があります。

フィリップ証券(シンガポール本店)のホームページはここです。あるいはGoogleで「フィリップ証券 シンガポール」と検索すると上位に出てくると思います。

フィリップ証券(シンガポール本店)のホームページを見ると、下の方に

本ウェブサイトの内容はあくまでも参照目的としての掲載をしており、日本居住者に向けた内容ではございません。原則として、日本に居住する方からのお申込みは承っておりません。

という記述があります。意図的なものなのか、単なる書き間違いなのか、判断しかねますが、日本在住の私でも口座開設はできましたし、もちろん、口座開設のためにわざわざシンガポールまで行く必要はありません。

(出典:フィリップ証券ホームページ)


口座開設の方法


だいぶ前のことなので、詳しい口座開設の方法は忘れてしまいましたが、上記のホームページの「口座開設用紙と関連書類」というところをクリックして、次に「オンライン口座開設」のところをクリックすればいいと思います。オンラインでの申し込みと、パスポートや免許証のコピーを郵送したような記憶があります。

口座開設をするために「本人認証」という手続きがあります。シンガポール国外居住者のところをクリックすると説明が出てきます。日本在住でコストをかけずに行うのであれば、「方法2」の電信送金の一択になると思います。送金する金額はいくらでもいいようです。「方法2」の下の方に入金先の銀行リストのリンクがあります。送金する通貨ごとに銀行口座が異なります。

オンラインで申し込みした時点で、日本語デスクから案内メールが来ると思います。わからないことがあれば質問してみてください。フィリップ証券(シンガポール本店)の日本語デスクはとても手厚く親切です。私は何度も質問を送りましたが、返信も早いですし、文面も丁寧でした。





海外送金(電信送金)について


口座開設の本人確認の時も必要ですが、取引を行うためにはフィリップ証券の口座(海外)に購入資金を送金する必要があります。

海外送金(電信送金)を扱っている銀行はいくらでもありますが、どこも手数料が高いです。私が調べた限りでは、楽天銀行が一番マシでしょうか。銀行を選ぶにあたって、いくつかのポイントがあります。

まず手数料ですが、楽天銀行の場合、送金手数料(750円)と海外中継銀行手数料(1000円)がかかります。円で送る場合は、さらにリフティングチャージ(3000円)なるものがかかります。であれば、外貨で送る方が得ではないかと思いがちですが、そうではありません。隠れコストの為替手数料があるからです。

試しに、楽天銀行の海外送金のページの海外送金シミュレータで為替手数料を計算してみます。送金受取国をシンガポール、送金通貨をSGD、送金金額を1万(SGD)として計算するボタンを押します。計算結果の為替レートの欄を見ると、82.03と書いてありました。2019年2月12日9:56時点のものだそうです。次に、GoogleでSGDJPYを検索して、2019年2月12日9:55の為替レートを調べると、81.38でした。なので、為替手数料は送金額に対して約0.8%です。100万円を送金する場合は、約8000円ですね。

円で送金した場合は、フィリップ証券の口座に円の残高で反映されます。取引を行う場合は、その市場の通貨に両替する必要があります。例えば、シンガポール市場で取引をする場合は、シンガポールドルに両替する必要があります。なお、シンガポール市場以外で取引をする場合も、一旦シンガポールドルに両替してから他の通貨に両替する為替レートが適用されます。この時の為替レートは、フィリップ証券にログインした後のお知らせ/為替レートで確認できます。

フィリップ証券の今日の日本円のレート(JPYSGD)は、ビッドが0.01229でアスクが0.012362でした。逆数を計算すると、ビッドが81.367、アスクが80.893です。仲値は平均の81.130として、為替手数料は約0.3%になります。100万円を両替する場合は、約3000円です。なので、楽天銀行でシンガポールドルに両替して送金するよりも、リフティングチャージ(3000円)を追加で払っても、円で送金する方が手数料が安く済みます。

銀行を選ぶ時のもう1つのポイントは、送金限度額です。楽天銀行の場合、1回100万円が上限です。一度にたくさん送金できれば手数料も安くで済むのですが、100万円ずつ送る必要があります。さらに、1ヶ月で200万円、1年間で500万円の上限もあります。

それから、これはどの銀行でも同じだと思いますが、送金依頼を行った後に送金目的の問合せが来て、取引内容等の送付を求められることがあります。ホームページの取引明細などを印刷してFAXすれば良いだけなのですが、なかなか面倒です。マネーロンダリング対策が重要なのは理解できますが。

安価で迅速な海外送金の手段として、TransferWiseというサービスがあります。一度フィリップ証券への送金を試してみたのですが、なかなか口座残高に反映されず、日本語デスクに問合せのメールを送ったら「弊社ではTransferWiseは対応していません」と言われてしまいました。結局1ヶ月くらいして口座に反映されたので、送金はできたのですが、おすすめできる方法ではないようです。

正直なところ、海外送金の面倒さと無視できないコストが、フィリップ証券(シンガポール本店)を使うときの一番のネックです。海外送金はフィリップ証券とは直接関係ない話なのですが、できればTransferWiseに公式に対応して欲しいと思います。





取引システムについて


口座開設して口座に送金ができたら、取引を行うことができます。取引システムは、残念ながら英語表示のみです。銘柄ごとの簡単な分析レポートを読むことができます(英語です)。すべての銘柄でレポートがあるわけではありませんが、シンガポール市場や香港市場の銘柄なら大体はあるようです。

株価表示やチャートや注文履歴や残高照会などの基本機能はもちろんそろっています。流石に、日本の証券会社と比較すると、ユーザインターフェースが洗練されているとは言えませんが、特に不便は感じません。スマホアプリも用意されています。注文を出すだけなら、スマホアプリの方が使いやすいです。

上で書いたように、市場ごとに使われている通貨に両替して売買する必要がありますが、取引画面で決済通貨にSGD(シンガポールドル)を選ぶと、シンガポールドルとその市場の通貨の両替を自動で行ってくれます。SGDの残高が不足している場合は残高がマイナスになりますので注意してください。残高がマイナスになると、年間数%の金利が発生してしまいます。


取引銘柄


取扱銘柄は、フィリップ証券(シンガポール本店)のホームページの「取扱商品」のところを見てください。例えば普通株を見ると、世界中の色々な市場で取引ができることがわかります。仲介手数料のところはじっくり見る必要があります。自分の投資する予定の金額と手数料を比較して、問題ない水準かどうかを確認してください。個人的には、オーストラリア株とイギリス株の最低手数料が少々高すぎると感じています。

米国株を取引するには、追加で申請書を出す必要があるようです。ただ、日本の証券会社でも手数料の安い証券会社がありますので、必ずしもフィリップ証券で取引する必要はないと思います。私は、シンガポール株と(日本の証券会社でカバーしていない)香港株とオーストラリア株を取引対象にしています。


まとめ


高配当銘柄の多いシンガポール株やオーストラリア株の多くの銘柄を取引できるのは魅力です。半面、海外送金の面倒さと手数料や、仲介手数料の最低額が高めであることが、フィリップ証券(シンガポール本店)を使う際のネックでしょうか。仲介手数料はともかく、TransferWiseには早く対応してほしいですね。



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