2019年1月7日月曜日

Annaly Capital (NLY)

超高配当株の一つである、Annaly Capital Management(アナリー・キャピタル・マネジメント)を紹介します。


会社概要


Annaly Capitalは、ニューヨークNYSE市場に上場しています。ティッカーシンボルは「NLY」です。モーゲージREITの最大手です。


モーゲージREITとは、大別された2種類のREITの1つのことです。REITは、所有している資産内容でタイプ分類ができます。エクイティREITとモ-ゲ-ジREITの2種類で、エクイティREITは実物不動産を所有・経営するタイプのREITで、モ-ゲ-ジREITは不動産を担保にしたロ-ンやその他債券を資産として保有しているタイプのREITです。モーゲージというのは要するに住宅ローンです。モーゲージREITは市場から短期で資金を借り入れて住宅ローンにお金を長期で貸して金利差を稼ぐという方法で利益を出します。2008年頃、アメリカの不動産価格が下落して信用度の低いサブプライム・ローンと呼ばれる住宅ローンで不払いが続出した時期には銀行や投資銀行、例えば日本でも大々的にニュースになったリーマンブラザースの経営破綻が起こりました。(中略)金利が上昇しますと、モ-ゲ-ジREITのような短期金利と長期金利の金利差で稼ぐ商品は利益獲得が難しくなります。短期で借り入れるために支払う金利は、金利上昇局面ではストレ-トにすぐ上昇しますが、住宅ロ-ンは10年、20年と長期契約型で固定金利タイプものが多いため、そう簡単に、住宅ロ-ンに貸し出している資金の金利収入は増加しません。悪いことに、金利上昇局面においては、モ-ゲ-ジREITの収入源となる金利差が縮小してしまい、逆ザヤの持ち出しになる可能性があります。
出典:モーゲージREIT | イー・キャピタルの株式投資用語辞典


Annaly Capitalは、米国で最大かつ最古のモーゲージREITであり、エージェンシー(ファニーメイやフレディマック)に保証されている不動産担保証券(MBS)に投資しています。短期金利で資金調達し、6倍程度のレバレッジをかけた上で、より金利の高く(3.5~4.0%)、残存期間が長期(30年)のMBSに投資することで利鞘(2016~2018年の実績では約1.5%)を稼ぐというシンプルな事業です。ただし、9割以上の資産に対して、スワップ等を用いて金利の変動をある程度ヘッジしています。

Annaly Capitalは、その他にも、Residential Credit事業(エージェンシー保証のないMBSへの投資)、Commercial Real Estate事業(商業不動産MBSへの投資)、Middle Market Lending事業(中堅企業への融資)を行っていますが、依然として上記のエージェンシー事業が大半を占めています。


財務分析


売上も利益もキャッシュフローも大きく変動しています。配当は10年前から半減しています。MBSを大量に保有していますので、自己資本比率は約14%と低いです。


2018年4Qの配当は0.3ドルが予定されており、2019年1月4日終値の10.02ドルで計算すると、配当利回りは約12%となります。





投資判断


Annaly Capitalには、下記のような強みがあると考えられます。

  • エージェンシー保証のMBSは、事実上の米国政府保証なので、信用リスク(貸し倒れ)は無視できるはずである。
  • モーゲージREIT最大手であり、スケールメリットがある。マネジメントの管理報酬が低い。エクイティに対する運用コストの比率は1.8%で、他のモーゲージREITの平均の半分である。
  • 他の投資対象との株価の相関性が小さい。2014年以降でVIXが15以上に上昇した期間のリターンは18%である。

また、Annaly Capitalには、下記のような弱みがあると考えられます。

  • 調達金利がFRBの利上げの影響を受けやすい。金利が上がっていく局面では、調達金利が貸出金利を上回る逆ザヤになりやすく、ポートフォリオに大きな評価損が生じる。
  • 逆に金利が下がってくる局面では、住宅ローンの繰上返済のリスクがある。
  • マネジメントを外部委託しており、管理報酬が総資産や総収入との比率で決まるので、一株あたりの利益を無視して規模拡大に走り、一般投資家との利益の相反が生じやすい。

Annaly Capitalの投資判断は、金利リスクと配当の不安定さをどう考えるかに集約されると思います。そのため、過去の傾向を調べてみます。

下記は、Annaly Capitalの株価(紺色)と四半期配当(赤色)の約20年間のグラフです。配当が上がる時期は株価も上がっており、プラスの相関があることがわかります。ここ数年は株価も配当も安定しています。


下記は、Annaly Capitalの株価(紺色)とFFレート(緑色)の約20年間のグラフです。金利が下がる時期は株価が上がっており、マイナスの相関があることがわかります。2013年に株価が大きく下がっているのは、量的金融緩和の縮小を予期してのものでしょうか。その後、2018年末時点でFFレートは2.4%まで上がってきていますが、株価はそれ以上下落していません。この程度の金利上昇は2013年の下落で織り込み済なのでしょうか。


現在、私はこの銘柄をポートフォリオの4%程度保有しています。もし金利が今後もどんどん上昇していくのであれば、Annaly Capitalは配当を出せなくなり、株価は下がるでしょう。ですが、低金利化は先進国全体の中長期的な潮流であり、米国だけが金利をどんどん上げることはできないと考えています。金利がそれほど上がらないのであれば、Annaly Capitalへの投資は悪くない選択肢ではないでしょうか。

Annaly Capitalを購入できる証券会社は多くないと思いますが、例えば、サクソバンク証券で購入可能です。この銘柄を保有している投資家は余程の変わり者だと思います。安定的な配当を求めるインカムゲイン投資家には忌み嫌われているでしょうし、キャピタルゲイン投資家の眼中には入らないでしょう。



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