2019年2月7日木曜日

National CineMedia (NCMI)

超高配当株の一つである、National CineMedia Inc(ナショナル・シネメディア)を紹介します。


会社概要


National CineMediaは、ナスダック市場に上場しています。ティッカーシンボルは「NCMI」です。米国の映画広告の会社です。

National CineMedia Inc(以下、NCMI)は、米国最大の映画広告ネットワークを運営するNational CineMedia LLCの親会社です。National CineMedia LLCの半数弱の株式をNCMIが保有し、残りの半分ずつを映画興行大手であるRegal社とCinemark社が保有しています。

NCMIの売上のほとんどは、映画館のスクリーンやロビーにあるスクリーンに表示する企業広告の販売で、米国の1600以上の映画館に衛星中継で配信しています。広告主は、自動車メーカー、エンターテインメント、インターネットメディアなどです。2017年の観客数は6.5億人で、広告収入は約4億ドル、観客1人あたりでは約0.6ドルでした。広告収入以外に映画館内でのドリンクの売上が約7%あります。

米国の過去30年の映画の平均チケット価格、観客数、総売上は、下表のようになっています。観客数は年間13億人前後で頭打ちですが、チケット価格の上昇により総売上は伸び続けています。ちなみに日本の2015年の映画観客数は1億6663万人で米国の1/8です。チケット価格は日本の方がかなり高いです。

(出典:英国映画興行市場の現状|デジタルシネマNow)


財務分析


会社としての売上と営業キャッシュフローは安定して堅調ですが、1株あたりで見ると長期的に下がっています。純利益はここ数年は低水準が続いています。営業キャッシュフローと純利益の差異は、繰延税金費用、減価償却費、株式報酬費用などです。配当は、2012年から年間0.88ドル(四半期ごとに0.22ドル)が続いていましたが、2018年から年間0.68ドル(四半期ごとに0.17ドル)に減配しています。2019年2月6日終値の7.04ドルで計算すると、減配後の配当利回りは約9.6%になります。

2017年12月末時点の自己資本比率は、ほぼ0%です。資産の約8割は無形資産と繰延税金資産で、負債の約9割は借入金です。年間の金利負担は約5300万ドルになっています。配当金支払いがほぼ同額の約5800万ドルですので、金利負担が増加すると、同じ割合で配当が減少することも想定されます。


なお、NCMIの決算を見ている際に、希薄化後の(潜在的な)発行済株式数が大幅に増加していることに気が付きました。これは、Regal社とCinemark社との契約で、Regal社とCinemark社が保有するNational CineMedia LLCの株式をNCMIの株式に交換できることになっていることが理由のようです。ただし、この希薄化が実現した場合でも、National CineMedia LLCの利益がすべてNCMIに入ることになるので、1株当たり利益は変わりません。


投資判断


業績への懸念から、2017年に入ってNCMIの株価は大きく下がっています。2018年には減配になっています。中長期的には、発行済株式数が増えているのに、売上やキャッシュフローがそれほど伸びていないのが気になります。金利の上昇も懸念材料です。ただ、映画広告のドメインでは競争力が高く、業績は安定的で、理解しやすいシンプルな事業と言えます。配当利回りも非常に高く、株価がこの水準から更に大きく下落する懸念は小さいでしょうから、短期的にポジションを持つのは悪くない選択ではないかと思います。

現在、私はNCMIをポートフォリオの2%程度保有しています。買い増しも検討しています。NCMIは、マネックス証券やサクソバンク証券で購入することができます。

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