2019年1月14日月曜日

British American Tabacco (BTI)

超高配当株の一つである、British American Tabacco(ブリティッシュ・アメリカン・タバコ)をご紹介します。といっても、すでにご存じの方が多いと思います。もともと比較的よく知られた銘柄でしたが、昨今の株価下落により、ますます有名になった感があります。


会社概要


ロンドンLSE市場と南アフリカJSE市場に上場しています。また、ニューヨークNYSE市場でもADR銘柄として取引ができます。ティッカーシンボルは、LSEは「BATS」、JSEは「BTI」、NYSEのADRでは「BTI」です。株式市場に上場しているタバコ企業の中では、世界最大手です。

British American Tabacco(以下、BAT)は、世界中に事業を展開しており、2017年の利益ベースでは、北米・南米が37%、アジアが25%、西欧が17%、東欧・中東・ロシア・アフリカが19%となっています。北米・南米の37%のうち20%は、2017年に買収したレイノルズによるものです。レイノルズの利益が通年で貢献すると、北米の比率が4割を超えるようです。利益率は、北米・南米とアジアが高く、欧州が低くなっています。

従来の紙巻きたばこ(Combustible Tobacco)に加えて、次世代タバコ(NGP:Next Generation Products)として、加熱式たばこ(THP:Tabacco Heating Products)や電子タバコ(ベイパー:Vapour)や噛みタバコ(Oral Tabacco)が普及し始めています。現在のBATの売上200億ポンドに比べて、次世代タバコの売上は5億ポンド程度なので、まだ比率は小さいですが、2022年には10倍の50億ポンドまで成長するとBATは予想しているようです。

2018年11月、米国食品医薬品局(FDA)がメンソールタバコの販売を禁止することを検討していると報道されています。BATは米国のメンソールタバコで最も人気のあるブランドである「Newport」を持っており、メンソールタバコ販売禁止により、BATの年間利益の約25%が影響を受けると推定されています。

Analysts at Barclays estimated US sales of menthol cigarettes account for around 25% of BAT's annual underlying earnings and around 11% of Imperial Brands's earnings.
出典:Tobacco shares hit by US menthol ban fear | BBC


財務分析


売上・利益・営業キャッシュフローが安定して成長しています。DPS < EPS < CFPSとなっており、比率も申し分ないです。2017年はレイノルズ買収の影響でEPSが非常に大きくなっています。2018年に支払われた配当は1.9ポンドで、2019年1月11の終値25.47ポンドで計算すると、配当利回りは約7.5%となります。米国ADRでは、為替の影響により、もう少し大きな数字になるようです。


自己資本比率は約44%です。レイノルズ買収により、総資産1425億円のうち1200億円が無形資産(intangible assets)という歪な資産構成となっています。ただし、余程のことがなければ、減損を出すような資産ではないでしょう。





投資判断


メンソールタバコの禁止による市場シェアの低下、レイノルズ買収による財務の悪化、Brexitを起因とするポンドの下落、健康志向の高まりによるタバコ出荷総数の低下、次世代タバコでの新勢力の台頭など、もともと懸念材料が多い上に、昨今の金利上昇等に伴う市場環境の悪化が重なり、BATの株価は大きく下落しています。ただし、株価の水準としてはリーマンショック前まで戻っており、これらの懸念材料もようやく織り込んできている感があるように思います。わかりませんが。

現在、私はこの銘柄をポートフォリオの3%程度保有しています。もちろん含み損状態です。買い増しするかどうかは悩ましいですね。



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