2019年1月17日木曜日

カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人 (9284)

超高配当株の一つである、カナディアン・ソーラー・インフラ投資法人を紹介します。


会社概要


カナディアン・ソーラーは、東京証券取引所インフラファンド市場に上場しています。銘柄コードは「9284」です。東証に上場しているインフラファンドの最大手です。

太陽光発電設備に投資してSPC(特別目的会社)に貸し出し、実績発電量と買取価格に応じた賃料収入を受け取るという、シンプルな事業です。買取価格は、FIT(固定価格買取制度)により20年間は固定であるため、賃料収入は非常に安定しています。パネルの劣化により発電量は漸減していきますが、借入残高の減少で支払利息も漸減するので、結果として当期純利益は緩やかに上昇していくと、同投資法人は予想しています。分配金の原資は、当期純利益と減価償却費です。

カナディアン・ソーラーは、現在、九州を中心に19箇所の発電所を所有しており、合計評価額は477億円、パネル出力の合計は105MWになります。最大規模の発電所は熊本県益城町にあり、これが全出力の半分近くを占めます。FITの満了日は2037年6月1日になっています。二番目に大きい発電所は鳥取県の大山町にあり、これが全出力の1/4を占めます。FITの満了日は2037年8月9日です。

米国NASDAQ市場に上場しているカナディアン・ソーラー・グループが、同投資法人のスポンサーであり、発電所の運営、および新規取得物件の供給を行います。2020年には3倍の約350MWまで資産規模を拡大する計画になっています。

インフラファンドは、REITと同様に、利益の90%を分配金に支払う場合は法人税を免除されることになっています。ただし、その(導管性要件の)適用期間は20年間です。


財務分析


2018年12月、2019年6月、2019年12月の予想1口当たり分配金はすべて3600円になっています。2019年1月17日の終値の96500円で年間の分配金利回りを計算すると約7.5%になります。

2018年6月時点の自己資本比率は約49%です。資産の8割が発電設備、1割が土地、残りが現金等です。下表は、2017年10月から2018年6月の収益と費用の内訳です。費用は、減価償却費の割合が大きくなっています。まだ設立当初であるため経常利益率は16%ですが、2019年には30%前後まで上昇する計画です。






投資判断


カナディアン・ソーラーに投資するにあたって特に考慮すべきリスクは、FIT満了後が賃料収入が低下するリスクと、導管性要件の期間後に法人税が適用されて利益が低下するリスクだと思います。

まずFIT満了についてですが、同投資法人が保有する発電所のFITの買取単価は36円/kWh程度ですが、FIT終了後は電力市場の取引価格±αでの買取等になり、単価は1/3程度になると思われます。減価償却費の負担が無くなるのですが、利益は1/3程度になってしまうのではないでしょうか。同投資法人が保有する発電所の出力の3/4が2037年の半ばにFIT満了ですので、残りは18年半です。

次に導管性の期間についてですが、期間が延長される可能性もありますが、もし延長されない場合は40%程度の法人税が適用されることになると思われます。

物件の入れ替え、すなわちFIT満了日がより将来の発電所にうまく入れ替えることができれば、FIT満了のインパクトは減らせるかもしれませんが、設備費用の低下よりもFITの買取価格の低下が早ければ(利回りが低下してしまうので)それも困難でしょうし、FIT満了より先に導管性の期間の終了が来てしまうのでは意味がありません。

現在の分配金水準が続き、18.5年後に同投資法人の事業価値が1/3x0.6~1/3になると仮定した場合、ざっくりとした計算でIRRは約4.6%~約5.2%になるようです。保守的に、18.5年後の事業価値が0になると仮定した場合は、IRRは約3.5%になります。

この利回りを高いと見るか低いと見るかは人によると思いますが、景気の変動を全く受けないディフェンシブ銘柄と考えれば、悪くない水準かもしれません。いずれにしても、FIT満了に向けて長期的には投資口価格は下がっていくでしょうから、NISA枠での購入はおすすめしません。

現在、私はこの銘柄をポートフォリオの6%程度保有しています。この分析を行う前は、もう少し増やそうと考えていたのですが、変なリスクがあるわりには意外と利回りが良くないので、むしろ減らした方が良いのではないかと迷い始めています。



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